セブ・コルドバの夜は更けて

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フィリピン銀行口座事情 シリーズ3

いったいフィリピンの人たちは銀行との関係を断ち切ってどうやって借金をし、どうやって送金し合っているのでしょうか?


便利なはずの銀行口座を、どうしてフィリピン人の大半は持とうとしないのかといえば、その一番の理由は銀行口座を開くにはお金(5千ペソ~一万ペソ)がかかるからです。
日本の銀行は住所さえしっかりしていれば誰でも簡単に口座を開くことができ、口座残高の制限もありません。口座をもつための維持費さえ、通常は1円もかかりません。
ところがフィリピンでは、最低預金額が定められています。預金額がこの金額を下回ると、口座維持費の名目で、毎月高い手数料が自動的に引き落とされるシステムになっているのです。

先の記事にもあったように、フィリピン人の平均的な預金額はけして高くはありません。そのため、いつのまにか最低預金額を下回ったことで知らないうちに手数料が引かれ、気がついてみたら口座残高がゼロになっていた、なんてケースも珍しくありません。

国民の大多数を貧困層が占めるフィリピンにおいて、最低預金額を口座にキープできる余裕のある人などほとんどいません。無理とわかっているからこそ、誰も銀行口座を開こうとしないのです。


口座を維持できるだけの金銭的余裕がないという切実な理由の他に、そもそも銀行口座など必要ないといったフィリピン文化の影響もあります。
貯金に対する考え方が、日本人とフィリピン人では大きく異なります。日本人は貯金することを善いことと捉えますが、フィリピンの貧困層の人々はお金があるのに使うこともなく貯金するのは悪いこと、と捉える傾向があります。


だから貧しいフィリピン人ほど臨時収入が入ると電化製品を買ったり、ちょっと贅沢な食事を楽しんだりと、あっという間に使い切ってしまいます。使い切ったあとの心配など端からしないのがフィリピン人気質です。
そのため、フィリピンの貧困層の人たちからすれば、銀行口座をもつ意味があまりありません。
はじめから貯金することなど、考えていないからです。
貯め込むぐらいなら貧しくて困っている親族や友人のために使うのが、フィリピン人の粋な心意気なのです。


経済的には貧乏でも、フィリピン人の心根はけして貧しいものではありません。
将来のことなど考えることなく、家族や親族・友人を助けようとする心の豊かさを持ち合わせています。
貧困に負けない底抜けの明るさは、こうした伝統的なフィリピン人の気質からもたらされている様です。
経済的な貧しさと貯めることを良しとしないフィリピン文化の両面が足かせとなり、フィリピンではまったくといってよいほど銀行口座が普及していないのが実状です。


一方、フィリピンでも中流階層以上の人々は、貯金できることは素晴らしいことと捉える価値観をもっています。それでも貯金できるほどの余裕がある人は、独特のフィリピン
文化の為ほんの一握りに過ぎない現実が横たわっています。


銀行の代わりは質屋で十分なのです!
貯金するしないはともかく、銀行口座がないと送金の際に困るのではないかと、人ごとながら気になりますが、大丈夫なのでしょうか?
お金を送るにしても受け取るにしても、日本では銀行口座がないとどうにも不便です。
しかし、フィリピンではそんな心配はいりません。
最近では外国に出稼ぎに出ている親族からの海外送金として、ビットコインがものすごい勢いで普及しています。仮想通貨を使うことで銀行に頼らなくても送金できる仕組みが、すでにフィリピンには根を下ろしつつあります。
海外送金ではビットコインの利用者が増えていますが、国内の送金でも銀行の代わりに広く利用されている機関があります。それは、質屋です。意外に思うかもしれませんが、フィリピンでは質屋が送金業務を担っているのです。

アメリカの植民地であったことから、フィリピンでは質屋を英語のまま「PAWN SHOP」と呼んでいます。質屋の店舗数は多く、フィリピン国内には16,000を超える質屋があるとされています。
クルマで走っていると「Pawn Shop」の看板がやたら目につきます。どんな田舎にも質屋は欠かせません。
銀行口座を持てない人々が、遠く離れた家族に仕送りするために用いるのは、もっぱら質屋です。送金は1ペソから可能なため、どんなに少額でも利用できます。手数料は送金額によって異なるものの、銀行の送金手数料よりはるかに安く設定されています。


質屋を使った送金の具体的な手順なこんな感じです。
送金者は自分の住所や氏名・送金額・受取人の情報・受け取り先の質屋を記載してお金を預けます。受け取り先の質屋には、当然ながら受取人の近所の質屋が選ばれます。
受取人は、受け取り先として指定された質屋にIDカードを持っていくことで、お金をすぐに受け取ることができます。
簡単なシステムながら貧困層にとっては便利な送金システムになっています。田舎では近くに銀行がないため、銀行へ行くためにわざわざ遠くの街まで足を伸ばさなければいけません。でも質屋であれば、田舎でもたいていは近所にあります。


質屋を利用すれば銀行よりも安く簡単に送金ができ、なおかつ近所にあって便利なため、銀行を使う意味はまったくといってよいほどありません。質屋があれば、フィリピン国内の送金に困ることなどないのです。


                            つづく

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