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フィリピン貧困の連鎖 シリーズ2

「貧富の格差」という言葉は、最近では日本でもよく耳にするようになりました、「一億総中流」と言われたのは、すでに過去のこと現在は日本でも貧富の格差が広がっています。
しかし、フィリピンと比べた時、その「貧富の格差」の中身には大きな違いがあります。

スイスの金融サービス会社 Credit Suisse のレポートによると、フィリピンは東南アジアのなかでベトナムに次いで2番目に高いGDP成長率を誇っています。
しかし、成人人口の純資産を比べてみると、フィリピンはシンガポール・ブルネイ・マレーシア・インドネシアに次いで、5番目の地位に甘んじています。


Credit Suisseが発行しているGlobal Wealth Databookの最新版によると、6000万人を超えるフィリピン成人の2017年の平均資産額は、9773ドル( およそ107万円)でした。
2016年に報告された平均資産額は9878ドル(およそ108万円)ですから、今回のほうがわずかに低い数値だったことになります。


トップのシンガポールは平均純資産額が268,776ドル(およそ2,940万円)と最も高く、世界でも9番目という裕福さを誇っています、続くブルネイが43,151ドル(およそ470万円)、マレーシアが22,804ドル(およそ249万円)、インドネシア11,001ドル(およそ120万円)と続き、そのあとようやくフィリピンが登場します。


Credit Suisseの調査によると、シンガポールやブルネイを除く ASEAN諸国のほとんどの成人の大半の純資産額が 1万ドル未満であるとされています。このことは、富の分配において著しい格差があることを物語っています。


実際のところ、ASEAN10カ国の半数で90%を超える成人が、1万ドル未満の財産しか貯蓄できていません。このように、ASEANの発展途上国での貧富の格差は、はっきりと数字で示されています。
では、富の分配がどれだけ不公平に行われているかを見るために、富豪の人数を比較してみましょう。国民全体に占める富豪の割合を比較すれば、その国の富の分配にどれだけの格差があるのかがわかります。

2017年に、少なくとも100万ドル(およそ1.1億円)以上の純資産額をもっている成人の数を比較してみると、フィリピン人は38,122人で ASEANのなかで3番目に位置しています。
このデータを入手できる国はASEAN5カ国のみですが、トップはシンガポールの151,703人、最下位はタイの 30,032人でした。


このデータを人口比に当てはめてみると、フィリピンで100万ドル以上の純資産をもっている成人は、成人全体のわずか 0.06%に過ぎません。


アジア太平洋地域の平均値である0.5%や、世界平均値である0.7%と比べてみると、フィリピンの0.06%という数字が異常に低いことがわかります。
このことは、フィリピンでは富の分配に、他国とは比較にならないほどの激しい格差があることを示しています。
しかも、100万ドル以上の純資産額をもっている富豪のなかにも、大きな格差が存在します。

1000万ドル(およそ11億円)以上の純資産を保有するフィリピン成人ともなると、2,587人に減少します。さらに、1億ドル(およそ110億円)の純資産を保有する成人は、わずか179人に過ぎません。
富豪のなかでも富の偏りに激しい差が見られることが、フィリピンの特徴です。


一方、Credit Suisse の発表によると、2017年の時点でフィリピンの人口の86.6%が、1万ドル(およそ109万円)未満の純資産しかもっていません。
1万ドル未満の純資産しかもっていない人の割合は、アジア地域では72.9%、世界では70.1%に過ぎません、フィリピン人の貧しさがアジアでも世界規模でもずば抜けていることが、この数字からも見えてきます。


貧困の連鎖
先にフィリピン成人の平均的な財産額が 9,773ドル(およそ107万円)であることを述べましたが、フィリピンの平均純資産額を見ると 2017年の時点で 2,478ドル(およそ27.2万円)しかありません。

純資産とは資産総額から負債総額を差し引いた金額です。つまり、財産額が土地や株券など純粋に所有している額を示すのに対して、純資産はそこから借り入れしている分を差し引いた額です。

一般的に、この2つの平均値に大きな差があるほど、持てる者と持たざる者の間に著しい不均衡があることを示すといわれています、フィリピンでは、2つの平均値の間に激しい差が見られます、ここからもフィリピンに横たわる貧富の格差が浮き上がってきます。


富裕層のほとんどは、財閥や大地主の一族を中心とする資本家階級です。80%を超える大多数のフィリピン人は、労働者階級に属します。資本家が労働者を搾取(さくしゅ)するという前近代的な構造が、フィリピンではいまだにまかり通っているという現実を、この図表のピラミッドが語っています。
フィリピンに横たわる貧困の格差をなくすと言うことは、このピラミッドを突き崩すことを意味しています。


極端な人口比からなるピラミッドは、フィリピン経済の抱える闇をなにより能弁に物語っています。


                      「俺のセブ留学記事」を引用しました。




                                つづく

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