セブ・コルドバの夜は更けて

すみれ会では毎週水曜日、午後1時よりマンダウエのJセンターモール2Fテラス(イミグレーションの外側)で交流会を行っております、参加は会員以外の方でも自由に参加できますので、お気軽にお越しください。

フィリピン貧困の連鎖 最終編

「貸し借り文化」がもたらしたもの
富裕層と貧困層が意図的に作られたという歴史的な背景、現実に仕事がないというジレンマに加え、あきらめの境地とも言うべきフィリピン人貧困層に共通する精神的な構造が、貧困からの脱出を妨害しています。


五百年に渡る植民地としての歴史は、抵抗しようにもその力がなく、支配層の言うがままに生きていくしかない絶望感を、フィリピンの被支配者層にはびこらせました。
スペインが広めたカトリックの教えにより、貧困層の人口は増え続ける一方であったため、貧困層の人々ほど大家族としての生活を強いられました、支配層に搾取されるがまま貧困生活を耐え忍ぶなか、家族愛で結束しなければ生きてはいけない状況が続いたのです。

こうして、人一倍強い家族愛はフィリピン文化の一つとなり、今に受け継がれています。
その反面、家族愛の強さは負の遺産をも残しました、食べられなければ持てる者が分かち合うという文化は博愛精神に裏打ちされた美徳ですが、その裏返しとして「食べられなくても誰かがなんとかしてくれる」という他人に依存する文化をも育んでしまいました。

こうした文化は、貧困層の人々から向上心や自立心を奪っていきました、困ったら他人に依存すればよい、という怠け心を助長してしまったのです。

その日の食べるものさえ事欠く毎日のなかで、家族や親族、隣人同士で食料やお金を貸し借りすることが当たり前のように根付いていきました、これを「貸し借り文化」と呼びます。

そこには、持てる者が持たない者を助けなければいけないという義務感が働きます、持っているにもかかわらず誰かに頼られたときに助けないと、日本の村八分のような目にあうことも珍しくありません。


そのため貧困層の人々ほど、臨時収入が入るとすぐに使い切ってしまう習慣があります。使わずにとっておけば誰かを助けるために使う羽目になるため、自分や家族のために使い果たしたほうが、よほどましなのです。
フィリピンの貧困層には、お金を後先考えずに使ってしまうと言う悪癖がありますが、そうした習慣は「貸し借り文化」の生んだマイナス面です。


クラブメンタリティーという悪癖
さらに、助け合うという連帯の精神は、「クラブメンタリティー」を育ててしまいました。「クラブメンタリティー」とは、フィリピン人が自分たちのメンタルを自虐的に呼ぶときの言葉です。

「クラブ」とは「カニ」のことです。フィリピンの港に近い市場に行くと、竹で編んだカゴのなかに水揚げしたカニを入れてある光景をよく目にします。カニを一匹だけカゴに入れておくと、カニは竹かごを器用に上り、たちまち逃げ出してしまいます。

では、カニが逃げないようにするには、どうすればよいと思いますか?

正解は「竹カゴのなかに多くのカニを入れておく」です。すると一匹のカニが這い上がろうとすると、他のカニも逃げ出そうとするあまり、そのカニの足を挟んで引っ張り始めます。こうしてお互いに足の引っ張り合いをするため、いつまでたっても一匹も逃げられなくなるのです。

これが「クラブメンタリティー」です。


仲間意識が強いがゆえに、一人だけ抜け駆けすることをフィリピンの人たちは許しません、もし、自分たちと同じ貧困生活から抜け出そうとする人がいると、ねたみや嫉妬からそれを邪魔しようと動く人が驚くほど多いのです。
悪い噂を流したり、さまざまな罠を仕掛けたりして、自分たちの世界から抜け出せないようになんとか足を引っ張ろうとします。


長い植民地生活は、生まれながらについている格差については初めからあきらめるものの、自分たちと同じ世界にいる人の抜け駆けに対してはことさら敏感で、何としても許さないという意固地さを生みました。
激しい貧富の差が何世紀にも渡って続いているにもかかわらず、暴動がおこるわけでもなく、理不尽な身分社会が維持されてきたのは、こうしたフィリピン人のメンタルに負うところが大きいといえるでしょう。

貧困から抜け出すには、それなりの努力があったはずですが、クラブメンタリティーはそんなことを考慮しません、理性ではなく感情なのです、努力や勤勉さの結果として這い上がろうとする人の足でも、ためらうことなく引っ張ります。

クラブメンタリティーが徹底した社会では、這い上がろうとする努力そのものが否定されます、下手にがんばれば激しい妬みを買い、人から足元をすくわれるだけだからです。
そのため、その日を生きていくことしか考えられない刹那的な生き方が、貧困層では当たり前になりました。



フィリピンの貧困層は精神的にも、貧困から抜け出せない連鎖を自ら招いています。
歴史的に生み出された貧富を生み出す構造、働きたくても仕事がないという現実、そして精神面の3つが相まることで貧富の格差が生まれ、貧困の連鎖が生じています。この3つの根を断ち切ることが、フィリピンの再生へとつながると思いますが皆さんはどの様に思われますか?...果たしてどうなる事や
                               終わり

×

非ログインユーザーとして返信する

あと 2000文字

※は必須項目です。